現代の子供たちは生まれたときからネットに触れて育っています。
私たち大人が学生だった頃は現在ほど身近なものではなかったと思います。
スマートフォンやタブレットの普及とともにネット上でのいじめが増加しています。
LINE外しや既読スルーといった加害者が身近な人物だとある程度分かるいじめだけでなく、匿名サイトに誹謗中傷を書き込んだり、チェーンメールなどで悪口を広めるような手口も増えています。
そんなネット上でのいじめの原因や対策、予防する方法と相談先などをまとめてみました。
親ができる!子供のネットいじめの原因とその対策は?
ウェブサイトの掲示板やいじめ目的で送信されるメール、LINEなどの閉鎖された中で誹謗中傷、あるいは仲間外れにするなどのネットいじめは日本だけではなく、世界的にも問題になっています。
その主な原因は学校などで行われる直接的ないじめ同様に嫉妬、妬み、仕返しといわれています。
攻撃的なグループに属していたり、家庭での問題(虐待など)のうっぷん晴らしをする行動であることが多いのです。
そして、子供は自分の言動が被害者に及ぼす影響を自覚していません。
いたずら心で始めたことがネットという大きなフィールドでコントロールができなくなったときにネットいじめに発展します。
さらに、ネットいじめ特有の原因は匿名性と万能感だといわれています。
多くのソーシャルメディアは匿名で身分を隠して他人を攻撃することができてしまいます。
書き込んだことに『イイネ』などの賛同が集まると嬉しくなることは、私たち大人でも経験があるかもしれません。
ふと漏らした友達への悪口に多くの賛同が集まったら、
『間違っているのは相手のほうだ』
と感じることでしょう。
そんな権力に似たような優位性によって攻撃がエスカレートしてしまうことがあるのです。
子供の多くは『ただ書き込んだだけ』『ちょっと不満を漏らしただけ』と加害者意識はほとんどないのです。
こういった原因を把握することが、ネットいじめの対応の第一歩になります。
ネット上のいじめは24時間どこに居ても行われるため逃げ場がないといわれています。
ウェブサイトの掲示板に特定の人物の悪口や誹謗中傷の書き込み、LINEなどのSNSやメールで大勢に送信するなどで、被害者本人が知らないうちに広まってしまうのもネットいじめの特徴です。
自覚もないままに突然、人間関係がおかしくなってしまったらわけもわからずに混乱してしまいますよね。
子供がネットいじめにあった時に親のできる対策法は
①証拠を保存する
いじめの証拠となる書き込みを見つけたら保存しておくことが大切です。
サイトに削除依頼をするときにも証拠が必要になりますし、名誉毀損や侮辱罪などの刑事的な責任を負わせたいというときにも必要となります。
その書き込みが誹謗中傷やいじめとわかるように前後の文脈もあわせて保存すると良いでしょう。
スクリーンショットで撮影したり、掲示板などの書き込みはURL、投稿者ID、番号、投稿日時などがわかるようにしましょう。
SNSはアカウント名、アカウントのアイコン、投稿日時がわかるようにスクリーンショットを取っておくとよいでしょう。
②投稿の削除依頼
掲示板やSNSに誹謗中傷が書き込まれると、それを面白がった人から他のサイトに転載されたり、拡散されることがあります。
そうなる前に投稿の削除依頼をサイト管理人に対しておこないます。
サイトの削除依頼フォームなどから依頼することになりますが、実際に削除するまでには時間がかかったり、削除されないことも多いのが現状のようです。
しかし、依頼しなければ絶対に削除はされません。
③LINEやTwitterなどをやめる。メールアドレスを変更する。
ネットいじめの加害者が全く知らない相手であったり、共通の友人がいないときには効果的な方法です。
アカウントを消してしまえば、相手はコンタクトが取れなくなります。
メールアドレスも同様です。
④フィルタリング機能を使う
子供は特に危機管理意識が薄いため、ネットでトラブルに巻き込まれてしまう可能性が高いのも特徴です。
大人がフィルタリング機能を設定することで、子供が有害な情報に接する機会を減らすようにしましょう。
⑤刑事、民事措置も検討
いじめにあたる投稿の削除なども大切ですが、場合によっては刑事告訴や慰謝料の請求も考えましょう。
相手が全く反省をしていない、投稿を削除しただけでは抑止効果にならない場合は検討する価値があると思います。
そして、何よりも大切なのは親子で『いじめ』に立ち向かう決意をすることだと私は考えます。
子供のネットいじめを予防する方法は?
私も自身のブログがウェブサイトの掲示板で中傷を受けたことがあります。
ウェブ魚拓(インターネット上のサイトを複製・保存するサービス)でページを保存され、掲示板で晒されました。
このウェブ魚拓はサイト運営者以外でも保存ができる上に、元のサイトで閲覧できないように非公開にしても、削除してもあらかじめ保存しておけば見ることが可能になります。
大人の私でも突然の誹謗中傷には戸惑いましたし、混乱もしました。
サイト運営者に対策を問い合わせたり、ウェブ魚拓の運営者に削除依頼をしたりと数ヶ月にわたり奔走したのですが、その数ヶ月は日常生活を送っていても落ち着かないですし、見ず知らずの不特定多数の人物からの攻撃にも参ってしまいました。
先にも述べたように現在、こうしたトラブルが発生しても対策はサイト運営者に通報する、相手をブロックするなど“被害者側から“行うアクションしかありません。
しかも、被害を受けた後にしかできないのです。
他人を誹謗中傷する側に対しては、対策のしようがないのが現状です。
そんな中でネットいじめによって命を絶ったというニュースに心を痛めた海外の14歳の女の子が提案した対策は、その加害者になりうる側に働きかける方法でした。
書き込みをする前段階で『本当に投稿しますか?』というメッセージを表示し1500件のデータを取ったところ、93%の若者が侮辱するような投稿をやめたそうです。
このシステムは『Rethink』といいアメリカ暫定特許権を取得しており、商品化することでネットいじめに繋がることがないように尽力しているそうです。
ネットいじめを予防するには、こうした加害者側に再考を促すシステムが取り入れられることも必要だと思います。
そして、気軽にネットに人の悪口や誹謗中傷するような書き込みをしないこと、その言葉の影響力などを日ごろから家族で話し合うと良いかもしれませんね。
子供のネットいじめの相談や法律は?
加害者が学校の友人だった場合、ネットでのいじめに関しても学校と交渉していくことになります。
それでも解決に至らない、学校が隠蔽しようとしているときには外部機関へ相談します。
それは教育委員会、警察、弁護士などが主になりますが他にも以下のような機関が相談にのってくれます。
①「24時間いじめ相談ダイヤル」 電話0570-0-78310
文部科学省が設置しているいじめの相談窓口でいじめに関するどんな相談にものってもらうことができます。
②「子供の人権110番」 電話0120-007-110(平日8:30~17:15)
全国の法務局、地方法務局及び支局の人権相談窓口です。
相手に人権侵害をやめるように注意したり、勧告、通告、告発をしてくれます。
③「少年相談ヤングテレホン」 (警察庁少年相談窓口)
電話03-3580-4970
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/soudan/index.html
④警察の少年相談窓口
各都道府県の県警本部が窓口となっています。
恐喝、暴力(殴る蹴る)、集団リンチ、器物破損、性的暴行、メールなどでの嫌がらせで困っている、深刻な被害を受けているなどを相談できます。
被害届を出せば犯罪として捜査してくれます。
⑤「チャイルドライン」
18歳までの子供の相談先になります。
以下からアクセスしてください。
http://www.childline.or.jp/
⑥弁護士の相談窓口
地元の弁護士会に問い合わせます。
被害者の人権を守る立場から事実確認の聞き取り、人権侵害があれば調査をして、加害者や学校にアプローチします。
電話での相談だけでは物足りないときには、法務局の人権擁護部課の窓口に出向いて文書で調査依頼をします。
自治体によっては相談窓口が設置されていることもありますので、確認してみましょう。
弁護士に依頼すると誹謗中傷を専門的な法の知識で相談にのってもらえます。
ネット問題が得意な弁護士や、ウェブエンジニアと連携して解決にのぞむ方もいます。
しかし、弁護士に相談すると費用が心配だと思うときには、警察などに相談してみると良いでしょう。
上記したように、警察や弁護士といった専門家が相談や実態を調べるということは、ネットいじめは現実の生活を脅かすほどの問題なのです。
相手の社会的評価をおとしめた場合には刑事告訴が可能な名誉毀損罪に問われたり、相手をむやみに罵倒すれば侮辱罪に問われます。
『○○さんは犯罪者だ』という発言は名誉毀損罪、『あいつは臭い』『顔が醜い』『○○さんは噓つきだ』という発言も侮辱罪にあたる可能性が高いのです。
刑法で罰する規定がないものではプライバシーの侵害なども関わってきます。
こちらは民事での責任が発生するもので、たとえ内容が真実であっても相手の社会的評価が下がってしまうような発言には法的責任が発生します。
どんな些細な悪口であっても相手が訴えたら犯罪となる可能性があるのです。
まとめ
私たち大人でもネットの使い方は決して適切であるとは言えません。
先に書いた私のブログを攻撃し、誹謗中傷を繰り返していた人は“子供を育てている親”が大半でした。
ブログの内容に対して
『モンスターペアレンツだな』
『こんな母親では親子共に周りから疎まれているだろう』
と書き込んだり、それを面白がった人たちが他のサイトに拡散するという経験からもネット世界の恐ろしさを感じました。
私は大人で、少し調べれば対処することが可能でしたし、誹謗中傷に対してどんな対応をするべきなのかもある程度は知識がありましたし、ネットに詳しい相談相手もいましたので最終的には何とかできました。
しかし、何をしたら良いのか、それに対応できる窓口や相談相手もわからない子供であったら八方塞がりだったかもしれません。
子供は親にいじめを受けていると話すことはなかなかできません。
それは恥ずかしさからであったり、親に心配をかけてしまうことへの罪悪感からだったりします。
そんなときに、親が気付いて力になってくれるということほど心強いものはありません。
子供の態度から感じたSOSに応えられるようになりたいものですね。