子育て中の親の悩み

教師が子供にする見せしめの体罰事例!どこからが体罰なのか知りたい。

子供への見せしめ体罰

先日から学校で行われた体罰のニュースが繰り返し報じられています。

子供が言うことを聞かなかった、指示に従わなかったからといって体罰を与えることは正しいのでしょうか?

怪我を負わせ、意識が無くなるような体罰は“暴力“でしかないと私は思います。
 

そして、最近は特定の児童生徒をターゲットに統制を取ろうとする『見せしめ』の体罰なども増えています。

見せしめにすることで、児童生徒の恐怖心(自分が次のターゲットにされるのでは?)などを煽るものです。

そこに体罰という身体を傷つける行為が加わることになるのです。
 

では、どのようなものが体罰と呼ばれるのか、見せしめの体罰は指導といえるのか、教師の体罰に対する法的責任を問えるのかなどをまとめてみました。
 

子供に対しての見せしめの体罰をする教師の事例!どこからが体罰?

子供への見せしめ体罰
文部科学省の『学校教育法第11条に規定する児童生徒の懲戒・体罰等に関する参考事例http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1331908.htm』によると、体罰とは

①身体に対する侵害を内容とするもの

  • 授業中に危険行為をした児童生徒の背中を足で踏みつける。
  • 足をブラブラさせて座り、前の席の生徒に足を当てた児童生徒を突き飛ばして転倒させる。
  • 反抗的な言動の児童生徒に対して平手打ちをする。
  • 立ち歩きの多い児童生徒の頬をつねって着席させる。
  • 引き留める教師の腕を振りはらった生徒の頭を平手で叩く。
  • 口頭での注意をきかない児童生徒にボールペンを投げつけ当てる。
  • 部活動中に片付けが不十分であるという理由で頬を殴打する。

②被罰者に肉体的苦痛を与えるようなもの

  • トイレに行きたいという児童生徒に対して室外に出ることを許さない。
  • 別室指導の際に給食の時間を含めて児童生徒を留め置き、一切室外に出ることを許さない。
  • 宿題を忘れた児童生徒に正座で授業を受けるように言い、苦痛を訴えてもそのままの姿勢を保持させる。

などが明記されています。
 

足で踏みつける、殴打するという行為は『暴力』であり、学校外で行われていなければすぐに傷害事件として立件されてもおかしくないですね。

まして、大人である教師と子供である児童生徒では体格・力など差のあることは明白で許しがたい行為であると思います。
 

それと同時に学校側にも児童生徒が口頭だけの注意ではきかない、もしくは他の児童生徒や教師自身に危害が及ぶなど、通常の懲戒権の範囲と判断される場合には以下のような懲戒(ただし肉体的苦痛を伴わないものに限る)が認められています。
 

  • 放課後等に教室に残留させる。(居残り)
  • 授業中、教室内に起立させる。
  • 学習課題や清掃活動を課す。
  • 学校当番を多く割り当てる。
  • 立ち歩きの多い児童生徒を叱って席に着かせる。(叱責)
  • 練習に遅刻した生徒を試合に出さず見学させる。

 

これらは学校教育法施行規則に定める退学、停学、訓告以外で認められると考えられる例です。
 

その他、正当な行為(正当防衛や正当行為と判断されると考えられる行為)とは、

  • 児童生徒からの暴力行為に対する防衛のため
  • 他の児童生徒に被害を及ぼすような暴力行為に対し、制止したり目前の危険を回避するため

です。

興奮した児童生徒が落ち着くまで肩を両手でつかんで壁に押し付け制止する、または暴力行為に及ぼうとしている時に押さえつけたり、腕を引っ張るなどして移動するなどは認められた懲戒となり、体罰とはいいません。
 

しかし、学校という第三者からは密室のような環境で起こったことはほとんどが子供からしか聞くことができません。

適切な指導かどうかの判断ができない小学生、判断ができても『親に話しても仕方ない』と考えてしまう中高生では大きな怪我を負うなどのことがないと保護者は知ることすらできません。

そして、それが学校のいう『指導』であったのか、行き過ぎた『体罰』なのかが分からないことも多いのではないかと思います。

教師による子供の見せしめは体罰?それとも教育?

子供への見せしめ体罰
教師や指導者による体罰は学校教育法の第11条において禁止されています。

しかし、今も体罰は子供たちを指導する現場で行われていることも事実です。

まして、クラスや部活動などで特定の児童生徒をターゲットにして罰を与え、クラスの統制をおこなうなどの見せしめの指導は不適切です。
 

クラスや部活動内で誰かをターゲットにして全員の前で叱る、罰を与えるという行為は

『こういうことをしたら次は自分も同じ目に遭う』

という恐怖を与えるだけでなく、ターゲットとなった人物に対して周りは

『叱られるようなことをしたのが悪い』

と考えるようになるなど、生徒間のスクールカーストを生むことにもなります。
 

そして体罰や暴力は奮われた子供だけでなく、それを見せられている子供の心も傷つけてしまうのです。

だからこそ、体罰や暴力には“見せしめ”の意味もあります
 

そして、このような見せしめの罰は先に述べたような体罰(暴力や肉体的苦痛を与えるもの)だけでなく、現在の教育現場では精神的な苦痛を与える見せしめの『罰』(生贄手法)も増えています。

暴力でも肉体的苦痛も与えていないので体罰とは言えない、しかし一部の児童生徒を徹底的に攻撃することでクラスを統制する方法にシフトしているのです。
 

生徒を怒鳴る、脅迫する、見せしめにする、飴とムチを使い分ける指導をテクニックとして紹介する指南書も多く出版されています。

こういった指導は子供たちを恐怖で支配するテクニックであり、コントロールし、子供同士で“看守”と“受刑者”のような関係性に分かれてしまうようにもなります。

こうした生贄手法は、長期に渡って行われることもあり、生贄にされた子供は精神的に追いつめられてしまうことも少なくありません。
 

私たちは親として、自分の子供がクラスの“生贄”となり肉体的、あるいは精神的に傷を負い、苦しい状態が継続しているような学校生活を送っていると知ったらどう感じるでしょう?

授業態度が悪かった、忘れ物が多いなど、発端は子供に非があるとしても怪我をするような体罰や精神的に追いつめられるような罰を望むでしょうか?
 

そんな話を子供から聞いた時、私たち親も間接的に暴力を奮われたように感じると思います。

過剰な罰は生徒本人、それを見せられた生徒、そして聞かされた人へと連鎖していくようなものなのです。
 

指導と体罰の線引きは先に述べたように難しいものです。

子供を傷つけようという悪意、または見せしめに罰を与えることが目的になった際にはそれは“体罰”といっても良いと私は思います。
 

しかし、子供をコントロールする教育法がまかり通っている現在、行われている指導が体罰かどうかは親と教育現場の双方が客観的に判断していかなければならない問題なのだと思っています。

子供が見せしめに遭った!法律で教師は罰せられるの?

子供への見せしめ体罰
繰り返しになりますが、学校教育法の第11条において『体罰は禁止』されています

教育現場にいる教員や指導者も暴力や暴言などの体罰はいけないことだと分かっている人が多いでしょう。

しかし、現在も体罰は行われています。
 

そんな体罰を罰する法律はないのでしょうか?
 

体罰は正常な倫理観を養うことができない、力による解決へと助長するなどいじめや暴力行為などへの連鎖を生むことから、違法行為とされています。

違法行為と認められたときには、3つの法的責任を問われることになります。
 

①行政上の責任

地方公務員法29条には、児童生徒に体罰を加えた場合には職務遂行上の義務違反という事由により懲戒処分の対象となります。
 

懲戒処分とは教職員に非違行為(非行・違法行為)があった場合、その教職員に対して教育委員会が制裁として行う処分です。

教職員の懲戒処分には

  • 戒告……本人に反省を促すためにする指導(話し合い)
  • 減給……給与の一部を一定期間に減額する
  • 停職……一定期間、給与なしで仕事をさせない
  • 免職……懲戒免職

があります。
 

教育委員会の懲戒処分の内容は、非違行為の内容を細かく想定して処分を決めるベースがあります。

これに動機・故意か過失・隠蔽の有無・類似の非違行為を行った過去など、そこに至った状況等を総合的に考えて決まります。
 

こうした場合は校長も監督責任を問われる場合もあります。
 

ただ、行政上の処分は行政という組織内部において行政上の責任を追及するものなので、公務員としての身分が退職などにより消滅した場合には懲戒処分を行うことができません。
 

これは後述する『民事上の責任』や『刑事上の責任』とは異なるものです。
 

②民事上の責任

損害賠償責任が問われ、傷害に関わる医療費に加えて精神的な慰謝料の賠償が発生することも考えられます。

学校設置者と加害教員の給与負担者が訴追されることもあります。
 

③刑事上の責任

傷害罪(刑法204条)、暴行罪(刑法208条)、過失傷害罪(刑法209条)などの刑事責任を問われる場合があります。
 

このように法的責任を問うことはできますが、実際は学校側が体罰を認め謝罪することすら、あまり無いことが現状です。

自分の子供から聞いた、保護者が見かけたというだけでは証言や証拠として弱いのか、

「感じ方の問題です」「指導の一環です」

とされたり、日時などのスキを突かれてしまうなど、うやむやにされてしまったという話を聞くことがあります。
 

実際に学校で何が行われているかなど分かりにくいので、証拠や証言などは記録するなどの対策も必要であると考えます。

その際には

  • 日時(いつから続いているのか)
  • 怪我を負った場合は写真を撮る

などの他に同じクラス・部活動の生徒や保護者に話を聞き、証言として書面として記録に残しましょう。

日時のズレなど指摘されないように詳しく記録すると良いでしょう。
 

可能であれば、子供にボイスレコーダーを持参させて学校でどのような指導がされているのか音声として残すこともオススメです。

学校側と話し合いの場での記録としても音声を録音して残しておくことは有効です。
 

子供にボイスレコーダーを持参させて……というと、音声の記録は会話している相手方の同意を得る必要があるのでは?と考えるかもしれません。

こうした音声は当事者であれば“秘密録音”とよばれ、盗聴ではありません。

決定的な証拠になるかといえば、あくまでも証拠のひとつとなりますが、学校の対応が不十分だと感じた場合に教育委員会や外部機関(警察・弁護士)に訴えることがあったときに役立つと思います。

まとめ

見せしめによる体罰。

こうした学校内の“パワーハラスメント”や不適切な指導方法は今に始まったものではありません。
 

私たちの親世代には、学校や先生は尊敬されていると同時に逆らえないような権力がありました。

私の学生時代には怒鳴る先生も少なくなかったですし、怪我まではさせなくても手を上げる先生もいました。
 

現在も子供のしつけには時に体罰を与えることは良いと考える人、仕方がないことだと考える人がいます。

それは、子供や女性には人権がなかった時代と全く意識が変わっていないように感じます。
 

子供にとって間違ったことや失敗してしまった時に身体に罰を与えることは正しいのか?と問われれば、そういうやり方は間違っています。

そうした指導法では、集団の統制が取れているのではなく解決したように見えるだけのように思います。
 

まして、人前で叱り見せしめにする行為は子供の自尊心を著しく傷つけるもので、後々の成長にも影響のある指導方法です。

周りの児童生徒も一緒に叱られているような気持ちにさせ、叱られている子供を軽んじてもよい対象にしてしまうなど、良い影響はないことも明らかです。
 

ドイツの精神科医、アリス・ミラーは見せしめの罰を与える方法を『ダークペタゴジー(闇の教授法)』と呼んでいます。

行動や人格をコントロールする必要性があり、外部からの目が届きにくい密室で用いられるこの教授法は、小学校では『学級』中学・高校では『部活動』で用いられやすいでしょう。

そんな密室でひとり耐えることは美徳ではないですし、子供たちは耐える必要のないものだと私は思います。
 

親の私たちは体罰を黙認したり、その体罰の共犯にならないことが大切だと考えます。