数年前のことになりますが、Twitterを開いたところ、いきなり裸の女性の動画が表示され驚いたことがあります。
自動的に再生されたものは恋人?との性交中の様子が赤裸々に映し出されており、何故こんな動画がSNSで公開されているのだろうか?と身動きが取れないくらいに衝撃を受けました。
そして、『動画に映る女性は自分ではない』という女性側からの反論と、そんな動画を撮ることを許したくせに往生際が悪いのではないかというツイートで溢れた動画は公開から数時間しか経っていないのに数万もリツイートされ拡散されていました。
この動画は仮に互いの同意があって撮影されたものだとしても、女性に対して何らかの苦痛を与えるために第三者に公開されたものだということは誰もが感じたと思います。
このような性的な写真や動画を拡散することで、元恋人に復讐を企てる“リベンジポルノ”は携帯電話のカメラの性能が向上するにつれて増加しているように感じます。
そんなリベンジポルノの被害に子供が遭った時の対処方法や相談場所、そして子供を守るためにはどうしたら良いのかをまとめてみました。
子供がスマホでリベンジポルノの被害に遭ったときの親の対処方法は?
子供の性的な写真や動画がネットで公開された時、親は
こんなものが世の中に流出されては子供の将来や夢が絶たれてしまう
もう日本では暮らせない
と感じるかもしれません。
しかし、最初にするべきことは『拡散を防ぐこと』です。
リベンジポルノの恐ろしさは加害者の陰湿な復讐をはらんだ嫌がらせだけでもなく、削除や非公開を申請しなければ半永久的にインターネット上に写真や動画が存在し拡散されてしまうことなのです。
被害者が悩んでいる間にも画像は世界中のサーバーを介して拡散されます。
SNSになりすましアカウントが作成されたり、LINEやメールではチェーンメールなどで拡散され、時にはフリーのアダルトサイトの画像として使用されることもあるのです。
時間が経てば経つほど拡散され続けるのがネットの怖さなのです。
そして、リベンジポルノは恐喝やストーカー、加害者の陰湿な感情からも最悪の場合には殺人に発展するような闇の深い犯罪であることを自覚しましょう。
次に詳しく記載しますが、発見した場合には判明した時点で一刻も早く然るべき相談先に対応を求めることが大切です。
子供がリベンジポルノの被害に遭ったときの相談場所はどこ?
では、リベンジポルノの被害に遭ったときの相談場所にはどのようなところがあるのでしょうか?
一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA) http://www.safe-line.jp/against-rvp/
無料で削除申請の手続きを代行したり、悩み相談の窓口についても紹介してくれます。
画像や動画の削除にかんしては、SIAのセーフラインへの通報で対応してくれます。
この一般社団法人セーファーインターネット協会はインターネット企業の有志によって運営されています。
リベンジポルノなどの違法なコンテンツを国内外のプロバイダに削除依頼の申請をしてくれます。
個人で削除依頼が追い付かない場合などには頼もしい味方になるかもしれません。
この削除依頼の申請(通報)は原則として本人、またその保護者(本人が児童の場合)ができます。
相談窓口はSIAで紹介してもらえる場所の他に次の公的機関でも受け付けています。
法務局の人権擁護機関
人権相談として法務局職員や人権擁護委員が人権に関する相談を受けています。
①みんなの人権110番
全国共通TEL 0570-033-110 平日8時30分~17時15分
※最寄りの法務局、地方法務局に繋がります。
②女性の人権ホットライン
全国共通 TEL 0570-070-810 平日8時30分~17時15分
※女性の人権問題に関する専用電話です。
③インターネット人権相談受付窓口
パソコンから http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html
携帯電話から http://www.jinken.go.jp/soudan/mobil/001.html
そして、画像や動画を流出した人物への処罰等を通じた問題解決には警察へ相談することも検討したほうが良いでしょう。
最寄りの警察署や各都道府県の警察本部のサイバー犯罪対策課に相談し、当該サイトに削除依頼を申請することもできます。
スマホを使ったリベンジポルノなどの悪質犯罪から子供を守るためには?
当たり前のことですが、リベンジポルノの被害に遭わないためにはそんな性的な画像や動画を撮らない・撮らせないことが一番の予防策です。
しかし、子供自身に自衛をうながすことが大切なことがあることも事実ですが、私はあまりお勧めしたいと思っていません。
なぜなら、リベンジポルノは自衛だけでは防ぐことができない犯罪だからです。
例えば、相手に好意を持っている幸せな交際期間に他の人には見せないと約束をしたうえで、『本当に好きなら写真を撮らせてほしい』と愛情を試されたときに
『拒んだら嫌われてしまうかもしれない』
という心のスキを突かれたら断ることはできるでしょうか?
特に恋愛感情が盛り上がっているとき、まして性的な関係の中で相手の要求を断るということは大変に難しいと感じた経験がある人も多いと思います。
だからこそ、画像や動画を撮らせてほしいと言われたときに、子供自身がどう考え、行動できるようになるかを考えていかなければならないと私は思っています。
自衛を呼びかけるだけではいけないと思う理由のひとつ目は、社会の被害者に対する叱責による二次加害です。
リベンジポルノとして公開された画像や動画に対して、社会的にどんな言葉を掛けているかは先に述べたように
『画像や動画を撮影させたのは自分』『あなたにスキがあるからだ』
と撮影された側(被害者)を責めるものばかりが目立ちます。
しかし、無理やり撮られた、カメラを仕込まれて知らないうちに撮られたなど、不意打ちで撮影されることも多いのがこういった性的な場面には多いことも事実です。
そういった時に、撮影された側には責任はありません。
相手の同意もなく、撮った側が100%悪いのです。
そして、自分が許して撮影された場合でも撮影される側には『撮影に応じる自由』があり、同時に『応じない自由』もあります。
撮影されたとしても『データを処分してほしい』『削除してほしい』と相手に申し出る権利(肖像権)もあるのです。
被写体になった人の同意もなく、第三者の目に触れるように公開するほうが間違っているのに、責められるのは撮られた側(被害者)ばかりです。
撮影をする側は相手の合意なく写真を他人に見せない、わざとでなくても画像や動画を許可なく漏えいさせることは“性暴力“です。
常に撮影をされた側とデータをどう扱っていけば良いのかを考える責任があるのです。
まして、復讐と称して相手を苦しめることが目的のリベンジポルノに正しい理由など存在しません。
リベンジポルノが復讐となるのは、社会に性的な写真が拡散されたときに相手が苦しむことを知っているからです。
その画像や動画を見た周囲の人が面白がって拡散し、それを回収することを阻むことができることを知っているからです。
被害者への批判や叱責が繰り返されることによって、さらに相手が苦しむことを知っているからです。
そんな被害者に対する叱責という二次加害こそが相手に対する復讐であり、効果的な方法であると加害者に教えているようなものです。
自衛では、そんな二次加害は防ぐことは不可能です。
そんな画像や動画を見かけたら、素早く削除や非公開にするなどの措置をとることで被害者を守ることになるという認識を共有できるように呼びかけることが、リベンジポルノが復讐として機能しないことにも繋がるのではないでしょうか?
被害者に自衛を求めるよりも、社会としてリベンジポルノを阻止することにもなるのではないかと考えます。
リベンジポルノの問題だけではありませんが、被害者ばかりを責める声は加害者に犯罪の正当化を助長していることになることに気が付かねばならないと思います。
そして『撮らせてはいけない』と自衛だけを勧めないことや、撮影された側を責めるべきではない理由のもうひとつは、被害にあったときに相談できなくなってしまうからです。
先に述べたようにリベンジポルノは恐喝やストーカー、殺人にいたることもあるような犯罪です。
自衛をしても撮られてしまった、データの処分を申し出て削除されたはずのものが公開されていることを、誰にも相談できなくなるほうが危険です。
私は子供に
- あなたには写真を撮らせない自由があること
- あなたに寄り添う気持ちのない人にプライベートな姿を見せないこと
- あなたの許可なくプライベートな写真が公開されたとしても、あなたには責任はないこと
- 困ったときには相談をしてほしいこと
を話しています。
同時に
- どんな人なら撮影に応じて良いと考えるのか
- 無断で撮影されたときにはどうするのか
- 被害者の立場になったときにどんな恐怖や苦しみを味わうかを考えること
- 被害者には批判ではなく、支援(画像や動画の削除)や保護が必要だという考え方
を話し合っています。
親として子供が被害に遭わないことを願っていますが、子供には心配をしていることや力になりたいのだと同時に伝えていきたいですね。
まとめ
現代は携帯電話のカメラ機能が発達したため、鮮明な写真や動画を誰もが撮影できるようになりました。
その写真はデータとして気軽に所持ができ、簡単にインターネット上に公開することも可能です。
その場の雰囲気で撮影したものがネットではコピーされ、削除されることなく拡散され残される世の中です。
交際のあった相手のプライベートな画像や動画を公開し復讐の手段とする人間がいて、他人には見せないような姿の写真や動画ほど面白がって拡散する人間がいることは事実です。
リベンジポルノはそういった人間の『自分に関わりのない人が辱しめられても関係ない』と考える人によって拡散されることを目的とした悪質な犯罪です。
そして、それを阻止できるのも人間なのです。
リベンジポルノの被害に遭わないためには自衛も必要ですが、社会の一員としてどうしていったら良いのかを常に考えていくことも同時に大切であると思います。